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ゆるくしぶといファン

百鬼オペラ 「羅生門」

お目当ては現在活躍めざましい吉沢亮くん♡♡♡
しかも柄本佑満島ひかりの舞台での演技も見れるならめちゃめちゃお得やーん!!と思い、チケットをとって見に行ってきました。


感想としては、
すっごい芸術的なものを見たわーーーーー


箇条書き

・まるで名探偵コナンの犯人役姿のダンサーたちの群舞が夢に出てきそう
・ときどき(本当にときどき)キュートな妖怪たちが出てくるが、全体的にシュール(非日常的、超現実的)で難解
・まじでシュルレアリスム
・衣装や舞台セット、音楽については、ダリやマグリット、昔のマジョマジョなどが好きな人にはハマると思う
・積極的に人におすすめできないが、面白くなかったというわけではない
・面白いとは言えない…けど、面白かった
・最終的には見てよかったよ!!!!!

って感じですかね


芥川龍之介の「羅生門」を中心に、「藪の中」、「蜘蛛の糸」、「鼻」の短編を描いた作品だそうです。
体感的に、
羅生門>>>藪の中>>>>>鼻>>>蜘蛛の糸って割合でした。
全部のお話読んでたつもりだったけど、藪の中はすっかり忘れていたうえにメインどころのお話で、しまった、原作読んでこればよかったと思った。


おりょうの出番は、藪の中で殺された旦那さんと、羅生門で女に逃げられた貴族の二役でした。
出てくるまで長いこと時間かかるし、しかもようやく出てきたと思ったら木に縛りつけられて、妻を目の前で賊に襲われるのをただ見るしかなく、最後に殺される×3回くらいやる旦那さんでした。
出番短めだけど、舞台上で一人旦那の気持ちの激白した場面は迫真でしたし、歌もあって、なかなかよかったです。
男に襲われている妻が一番美しいと思った、って言うときの、妻を愛しているってはっきり自覚したのと憎しみを抱いた表情がよき、でした。


特にめちゃめちゃええなーと思ったのは、2回ほど刃物で腹を刺される回想シーンをやるんですが、上から真っ赤な紙吹雪が降ってきたのと、床から真っ赤な紙吹雪が吹き出したシーンがすっっっっごく美しくて、よかった。血飛沫の表現がとても美しくて、その中で死にゆくおりょうさん、めちゃめちゃ美しかった。
おりょうさん最大の武器の顔面を100%発揮できない、舞台という表現の場にも関わらず美しかったです。
賊に襲われた後、旦那にすがる妻の満島ひかりにらみつける表情もぞくぞくしました。割と前方席だったんですが臆することなく双眼鏡使ってよかった。*1
打って変って貴族の役はコミカルでキュートだったけれども(全身薄いピンクのスーツ!)、やっぱり旦那さんの演技が印象的で強かったなあ。



ニュースサイト見ていたら、舞台慣れしていない柄本佑の演技が良いというレビューがあったのだけれど、感じた違和感はこれか!とはっとした。
演技が下手くそなんじゃなくて、慣れていなかったから違和感感じたのかっていう。
賊と下人の演じ分けが見事でした。
何かから逃げ続ける、煮え切らない旅人がよかった。
賊のときは正直満島ひかりに目を奪われていたからあんまり記憶がないんですよねえ…。


満島ひかりはまず顔がとても小さい!!そして体も小さい!!
だけどあの小さな体から発せられるパワーがすごい。とてもお芝居うまかったです。
死体の女が宙に浮かんで、緑の髪の毛おばけ(本当にこう表現するしかない)と踊るんだけど、それがまためちゃめちゃシュールでこわいんだけど目が離せなかった。
あと、賊に襲われた後、後ろのファスナーがぱっくり割れた朱色のワンピース着ている姿がすごく綺麗でほれぼれした。
満島ひかりの薄幸な感じ最高。
一方、羅生門では強気な女でギャップに惚れる。包丁振り回して殺気立ってるの、物騒な女なんだけど美しい。


音楽も衣装もとてもとても美しく、ノスタルジックでシュールで、不思議な世界観の舞台でした。
同時に、めちゃめちゃ夢に出てきそうなので、静かに怖い舞台でした。
わたしは特に「藪の中」の舞台セットが好きです。絵本に出てきそうなファンシーな感じ。
石ころの歌のときに出てくる、塗り壁みたいなのと、棒みたいな二匹の妖怪がとてもかわいかった。
正直かわいい妖怪は、羅生門の岩おばけとここだけで、後は鼻のときの花人間やランプ人間という百鬼オペラという名にふさわしい百鬼夜行加減がなかなか怖かった。
花人間は床から上半身出して、数人踊り狂うんだけど、唇も花びらだし、お花の目をしてるし、音楽はコミカルでかわいいのに花人間カラフルでかわいいけど夢に出てくるよーこわいよーって思ってた。


また、結合双生児のように衣装がつながったアコーディオンとギターを弾く女の子が宙に浮かんで、歌を歌いながら出てくるんだけど、その下ではランプ人間が踊っているのが一番怖かったです。
「蜘蛛」のときの、男を追いかける亡霊の群も怖かったけど、ランプ人間の場面はノスタルジックを煽る分、背中がぞわぞわする怖さでした。


誰もが知っているであろう芥川の短編をベースにしているが難解で怖く、見ているだけで体力消耗が激しいのでもう一回見に行きたいとは思えないけど、でも見に行ってよかったなあと思う不思議な舞台でした。
コンテンポラリーで芸術的な舞台見たわーーーっていう謎の達成感があります。
少しでも気になる方はぜひ見に行って損はない、っていう保証はできないけれど、見に行ってほしい。
わたしは不思議で、新鮮な体験ができました。


あとは、複数回入るおりょうをたくファイトって感じです。


おわり。

*1:双眼鏡を準備していた開演前、後ろのおじさまに、「こんな席なのに、ファンはやっぱり双眼鏡使うんだねぇ」と感心された。わたしはおりょうの顔面が好きなので使いました。^^^^